山背古道探検隊・山背人・村田喜昭の巻

「みどり農園の主 村田喜昭さん」

今回ご登場頂くのは、井手町多賀の「みどり農園」を切り盛りされている村田喜昭さん。日焼けした肌に笑い皺、道に落ちている空き缶を本当にさりげなく拾いながら歩かれる姿―少し頑固だけど面倒見のいいお父さん、といった感じ。

おいしい自然あふれるみどり農園
 井手町のホタル公園から南谷川に沿って少し上がったところにあるみどり農園。園内を流れる小川には魚が泳ぎ、農園の樹々にはたわわな果実。バーベキューも楽しめる四阿には心地よい風が吹き抜ける・・・村田さんがおっしゃるとおり、ここは「息抜き」にぴったりの場所。春夏秋冬、一年中おいしい自然が楽しめる近場の極楽です。

観光農園事始め
 みどり農園を始めようと思われたきっかけは、学校卒業の頃に聞かれた木津の青木さん(前号の山背の人)の会員制農場の話。自分もいつかと温めてこられた夢を形にされたのが21年前。折しも観光農園ブーム。その後その数は徐々に減少していきましたが、みどり農園は京都・大阪を中心とした都市部からのお客さんの心をつかみ着実にファンを増やし続けています。それも、「お客さんに来てもらう原理は他の商売も同じです。2〜3年にひとつ新しいものを入れていかないといけない。」とおっしゃるように、サービス業の鉄則を忘れない影の努力があってこそ。村田さんの前向きな気持ちが伝わってきます。

自然との共生
 四阿の近くに葡萄と林檎、そこから500メートルほど離れた山の一角に栗、柿、みかん、竹などが植えられています。訪れたときはちょうど栗の花が満開。木々の間を縫って続く結構急な遊歩道を登って行き、あー疲れたと思う頃、「息切れしてきました 運動不足 あと少しで頂上です」というお茶目な立て看板。昔この辺りは条件が悪い辺鄙なところだったという事ですが、今は村田さんの手入れの甲斐あって地形を利用した立派な農園になっています。ここの作物は有機肥料を使い、農薬は普通の半分以下で育てられているので安心。草刈り以外は、すべて村田さん一人で世話をされているとは思えないほど手入れが行き届いています。というのも、「観光農園だから作物を手抜きしてもいいという人もいます。でも、素人目にも管理してあると分かる程度の手入れはしていかないといけない。管理してあると分かるとお客さんも丁寧に取ろうという気持ちになるから」とのお考えから。柿の実は虫を捕ってくれる鳥のために「来年もよろしく」という”気持ち”として1個残す、刈った草は集めておき梅雨明けに畑において肥料にする、など自然と共生する知恵があふれています。

 最後にひとつ、ロバの話。四阿から小川に沿って奥に行った所にロバが一頭。そのことを村田さんにお聞きすると、「実は若い頃乗馬が好きでして」とハイカラなお答えが。馬は育てにくいからまずはロバを育ててみては、ということで飼われて15年になる満州ロバ。以前は農園へ行く村田さんのトラックの後をいつも着いてきていたというよき相方です。

 村田さんの笑顔、あふれる自然、愛情が詰まった農園。ここに来られる7割近くがリピーターだという話にも納得。子供にかえって川遊びするもよし、バーベキューの後のんびり昼寝するもよし。なんだかなつかしくてどこかホッとできる、村田さんの人柄あふれる農園へ今度の週末にでも出かけてみませんか。(み)

四季楽しめるみどり農園にいらっしゃいませ。

みどり農園の問い合わせ・予約
 TEL:0774(82)2654
 FAX:0774(82)5306


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山背古道探検隊・山背人・村田喜昭の巻 '98.2掲載