山背古道探検隊・山背人・田辺英夫の巻

「鹿山(ろくざん)の笑顔―田辺英夫さん」

木津町鹿背山(かせやま)。美しい名前をもったこの山里に、笑顔がよく似合う和尚様がいる。ただの住職ではない。山城郷土資料館友の会の会長をつとめる傍ら、「鹿背山の自然と歴史・文化を守る会」の活動を支え中世の古城「鹿背山城跡」周辺の自然と文化を守ろうとしている。

竹切しませんか。
 さて、竹切り。「どなたか一緒にしませんか」というメッセージがすでに田辺さんから発せられているのをご存じでしたか。探検隊発足総会の記念スピーチでのこと。
 取材班(1人でしたが)は、さっそく裏山の高見に案内されました。ところどころ切り株の残るそこからは、なんとも不思議な眺望が。西に流れる手前の木津川と北に流れる向こうの木津川が同時に2つ眺められる。「子どもがここまで遊びに来てくれたら」と田辺さん。根っこまで丁寧に切られているため、後からでてくる竹は、笹団子のようなかわいい形になっていて、子どもも喜びそうだ。
 鹿背山は花崗岩の岩山だそうで、土砂崩れを防ぐためにも山を荒らしてはだめで、緑の絨毯のような里山にして、草が伸びたら丁寧に刈って根を張らせ薄い表土が崩れだすのを防ぐのが一番とのこと。それが寺の周囲に美しい風景をよみがえらせている。一度訪れてみられてはいかがでしょう。もちろん、竹切を兼ねて。

鹿背山城
 田辺さんの竹切は、まだ続く。西念寺の奥には、お城の跡がある。この地方最大の山城―鹿背山城の跡だ。戦国大名松永弾正もここをつかっていたという。城跡へ踏み分け道が通っている。かつての大手門への道だが、今は竹薮をかき分けて進まなければならない。「鹿背山の自然と歴史・文化を守る会」がその城跡を探訪する会を開催している。多くの人に歩いてもらえるように、かぶさる竹を払っていきたいというのが田辺さんの願いだ。城山からの眺めはまた格別のものがあるそうだ。そこまでお聞きすると探検隊として是非とも協力したいと思うのは私1人であろうか。

鹿山文庫(ろくざんぶんこ)
 田辺さんのお話があまりに多岐に渡るので、つい「今度、山背サロンを西念寺で開いていただけませんか」とお願いしてみた。「いいですね。でもサロンならもう開いています。鹿山文庫という名前で」。鹿背山に住んで書道をたしなんでいた人がお亡くなりになり、消えていくのは惜しいと思われた田辺さん。その家を買われて鹿山文庫として開放されている。文庫には先の書家の漢籍の書をはじめ、後から集められた本が用意されている。毎週金曜日に、奥様が出向いて公開している。ご近所の方も集まって、パッチワークやら、蔓細工もしているそうだ。探検隊が創ってみたいと思っていた理想的なサロンがそこにあった。

山城郷土資料館友の会
 最後に友の会の宣伝もしておこう。田辺さんが会長をしているこの会は歴史を愛する市民の会である。木津川を挟んで鹿背山の向かいにある府立山城郷土資料館の催事に合わせ活発に歴史の勉強をする集いだ。春と秋には、歴史探訪会も催している。友の会に入って、郷土の歴史をたっぷりと味わうのはいかがでしょうか。

山城郷土資料館友の会の連絡先
〒619-0204 木津川市山城町上狛千両岩
Tel 0774-86-5199

「木津町・加茂町・山城町」は平成19年3月12日に合併し「木津川市」となりました。


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山背古道探検隊・山背人・田辺英夫の巻 '98.2掲載